2007年10月24日: 新製品企画
最近、Alternaxの後継製品が熟成してきたので、これをベースに新製品の企画をしている。実はこの後継製品はまだ発表していないのだが、既に既存のお客様を中心に導入を進めているところである。外見的にも従来の問題点の多くを解決し、軽く操作性が高いユーザインターフェースを持っている。また、当社としては、創業以来の基盤ソフトウェアであったContents Relation Engine(CRE)を大幅にバージョンアップし、SOAやWeb Serviceとも親和性が高い構造を持つようになった。
これにより、Alternaxは次世代の構造へ進化したのだが、最近は番宣組などの派生製品が好調なこともあり、今後もニッチマーケット向けの派生製品を出していこうということになった。
当社が今年1月に増資した際に、奉行シリーズで有名なOBC社に資本参加してもらった関係もあり、奉行シリーズと連動した機能を持つ製品に仕立てようと考えている。現バージョンのAlternaxでも、奉行シリーズと連携したソリューションを顧客に提供している事例があり、現在もあるお客様の案件として、この後継製品と奉行シリーズの最新版である奉行V ERPとの連携システム構築を進めている最中である。
これらのOBC連携製品については、11月に開催される奉行フォーラムにて先出し展示する予定なので、これから企画ブラッシュアップを進めて開発に繋げて行く予定である。
奉行フォーラム2007
http://www.obc.co.jp/F2007/index.html
これにより、Alternaxは次世代の構造へ進化したのだが、最近は番宣組などの派生製品が好調なこともあり、今後もニッチマーケット向けの派生製品を出していこうということになった。
当社が今年1月に増資した際に、奉行シリーズで有名なOBC社に資本参加してもらった関係もあり、奉行シリーズと連動した機能を持つ製品に仕立てようと考えている。現バージョンのAlternaxでも、奉行シリーズと連携したソリューションを顧客に提供している事例があり、現在もあるお客様の案件として、この後継製品と奉行シリーズの最新版である奉行V ERPとの連携システム構築を進めている最中である。
これらのOBC連携製品については、11月に開催される奉行フォーラムにて先出し展示する予定なので、これから企画ブラッシュアップを進めて開発に繋げて行く予定である。
奉行フォーラム2007
http://www.obc.co.jp/F2007/index.html
2007年03月13日: ホワイトカラーエグゼンプション議論 本当の理由
昨今何かと話題になっているホワイトカラーエグゼンプションだが、これはその人の立場と見方によって、議論が非常に幅広く捉えられる難しい課題である。
マスコミなどでも、「残業代切捨て法案」などと散々攻撃されており、労働側から見た場合の不安感が非常に強いことは容易に想像できる。私自身も現在は経営者であるが、起業する前はまさにこの法案の対象者であったので、それまで普通に貰っていた残業代が無くなったらと思うと共感できる部分が多い。
当時のホンダは会社と労組から残業が厳しく制限されており、1ヶ月で30時間程度しか許可されない優良企業であったため、自分自身では残業苦という記憶は無く、収入向上策という捉え方の方が大きかったと思う。実際、当時の生活を振り返って見ても、明らかに残業代収入を計算に入れて生活設計をしており、単純にカットされると考えた場合には、生活水準を切り下げなければならなかっただろう。
#もちろん、貯金も含めた設計なので全部使っていたわけではない
今回の場合、「残業代カット=固定+成果給上昇」であれば生活は変わらないハズなので、それ程反対する理由も無いとは思うのだが、多くの人は「残業代カット=給与切り下げ」という図式を描いて反対しているのであろう。そして、その予想は当たっている可能性が高い。何故ならば、政府(財界)側から本件が切り出されてきた本当の理由は、いまや日本人のマジョリティとなったホワイトカラーサラリーマンの人件費抑制であろうからだ。
これは資本主義世界がグローバル化したことと無関係ではない。最近流行のM&Aに関連して、マスコミに取り上げられることの多いキーワードに「三角合併」というものがある。これは、新会社法施行に伴って2007年5月1日から解禁される予定の、外国企業による国内企業のM&A手法の一つで、外国企業が(現金を使わず)自社株式を使って国内企業を買収する方法である。
三角合併
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/sa/sankakugappei.html
これが何故問題かというと、時価総額の差がそのまま買収余力になるからだ。従来まで、外国企業が国内企業を買収しようとする際には、基本的に現金でのTOBが必須となっていた。国内企業同士では株式交換が可能だったのだが、外国企業にのみこの制限があり、事実上の参入障壁が築かれていたことになる。
今回これが解禁されることで、国内の多くの企業が買収標的にされる可能性が高くなる。というのは、例え国内でトップシェアの大企業といえども、世界規模の企業から見たら安い買い物レベルの時価総額であることが多いからだ。例として良く挙がるのは、医薬品、製紙、化学、食品、鉄鋼、小売りなどの「内需関連企業」であるが、例えば、武田薬品工業は国内ではトップメーカーながら、世界規模では10位台でTOP10に入っていない。次の医薬品メーカー時価総額ランキングを見てみよう。この表を見る限りは、国内企業は全て買収標的になり得る規模である。
話が長くなったが、要するに日本企業(の経営陣)は、自社を防衛するために時価総額を上げる努力を求められている訳である。そして、その時価総額は収益性とリンクしており、PER(株価収益率)などの指標で評価されることが多い。収益=売上-コストなので、買収防衛を行うために収益性を上げようとすれば「売上を上げてコストを下げる」他無いのだ。
古今東西を問わず、企業にとってもっとも大きなコストが人件費であることは論を待たない。日本企業も製造業においては、「失われた10年」の期間に大規模なリストラを実施し、工場などの生産設備は中国をはじめとする海外オフショアに流出した。また、国内に残った産業でも、派遣やライン請負などのアウトソーシングを進めることによって、生産性を大幅に向上させている。そして、残る聖域がホワイトカラーなのである。
ここで問題になるのが、日本独自の極度に保護された労働慣行である。実際に自分がそうじゃなくなってみると良く分かるのだが、国によってはリストラに怯えるどころか、仕事そのものが存在しないことも多いなか、日本のホワイトカラーは非常に恵まれた環境にあると思う。
政府としても、米国の外圧を受けながら国内産業を守るためには、
1.国内の格差が拡大しても世界で勝てる企業を作る
2.国全体が貧乏になる
のどちらかを選択せざるを得ないと考えてこの議論を切り出しているのだろう。要するに全員が貧乏になるのではなく、「社会として必要な一握りの人材は高給に。そうでない方はそれなりに。」ということだ。企業による国内への投資や税収を考慮した場合、全体が沈むよりはこちらの方が良いのは明らかだ。当然、これは国民の経済格差拡大に繋がるのだが、他に選択肢が無いのならしょうがない。この状況では、近いうちに労働関連法規の全面的な改正議論になることは避けられないだろう。
中国が発展を続ける限り、「すぐ隣の国に知的レベルが高く、人件費が(少なくとも日本よりは)安い人間が軽く1億人以上いる」という状況は覆りそうにない。私が知る限りでも、日本語を流暢に使える中国人はかなり多く、彼らこそがホワイトカラーの潜在的競合者なのである。
労働者として、「残業代がカットされる」と声高に叫ぶのも正論ではあろう。しかしながら、国としてそのような状況になってきているということも同時に指摘しなければ、今後の日本の方向性を決める重要な時期として、大きな問題なのではないだろうか。
導入の是非が問われるホワイトカラーエグゼンプション--調査では約7割が反対 - CNET Japan"また、ホワイトカラーエグゼンプションに対する是非については、長時間労働が一般化する、賃金が抑制されるなどといった懸念から、約7割の人が反対の姿勢を示しており、現状ではホワイトカラーエグゼンプション導入への理解を得るのは難しい状況が明らかになった。"
マスコミなどでも、「残業代切捨て法案」などと散々攻撃されており、労働側から見た場合の不安感が非常に強いことは容易に想像できる。私自身も現在は経営者であるが、起業する前はまさにこの法案の対象者であったので、それまで普通に貰っていた残業代が無くなったらと思うと共感できる部分が多い。
当時のホンダは会社と労組から残業が厳しく制限されており、1ヶ月で30時間程度しか許可されない優良企業であったため、自分自身では残業苦という記憶は無く、収入向上策という捉え方の方が大きかったと思う。実際、当時の生活を振り返って見ても、明らかに残業代収入を計算に入れて生活設計をしており、単純にカットされると考えた場合には、生活水準を切り下げなければならなかっただろう。
#もちろん、貯金も含めた設計なので全部使っていたわけではない
今回の場合、「残業代カット=固定+成果給上昇」であれば生活は変わらないハズなので、それ程反対する理由も無いとは思うのだが、多くの人は「残業代カット=給与切り下げ」という図式を描いて反対しているのであろう。そして、その予想は当たっている可能性が高い。何故ならば、政府(財界)側から本件が切り出されてきた本当の理由は、いまや日本人のマジョリティとなったホワイトカラーサラリーマンの人件費抑制であろうからだ。
これは資本主義世界がグローバル化したことと無関係ではない。最近流行のM&Aに関連して、マスコミに取り上げられることの多いキーワードに「三角合併」というものがある。これは、新会社法施行に伴って2007年5月1日から解禁される予定の、外国企業による国内企業のM&A手法の一つで、外国企業が(現金を使わず)自社株式を使って国内企業を買収する方法である。
三角合併
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/sa/sankakugappei.html
これが何故問題かというと、時価総額の差がそのまま買収余力になるからだ。従来まで、外国企業が国内企業を買収しようとする際には、基本的に現金でのTOBが必須となっていた。国内企業同士では株式交換が可能だったのだが、外国企業にのみこの制限があり、事実上の参入障壁が築かれていたことになる。
今回これが解禁されることで、国内の多くの企業が買収標的にされる可能性が高くなる。というのは、例え国内でトップシェアの大企業といえども、世界規模の企業から見たら安い買い物レベルの時価総額であることが多いからだ。例として良く挙がるのは、医薬品、製紙、化学、食品、鉄鋼、小売りなどの「内需関連企業」であるが、例えば、武田薬品工業は国内ではトップメーカーながら、世界規模では10位台でTOP10に入っていない。次の医薬品メーカー時価総額ランキングを見てみよう。この表を見る限りは、国内企業は全て買収標的になり得る規模である。
| 順位 | 企業名 | 国名 | 時価総額 (100万ドル) | 売上高 (100万ドル) |
| 1 | ファイザー | アメリカ | 208,758 | 51,298 |
| 2 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | アメリカ | 193,163 | 50,514 |
| 3 | グラクソ・スミスクライン | イギリス | 158,382 | 39,410 |
| 4 | ロシュ・ホールディングス | スイス | 151,724 | 28,539 |
| 5 | ノバルティス | スイス | 136,189 | 32,212 |
| 6 | サノフィ・アベンティス | フランス | 119,587 | 33,987 |
| 7 | アストラゼネカ | イギリス | 98,576 | 23,950 |
| 8 | メルク | アメリカ | 91,423 | 22,012 |
| 9 | アムジェン | アメリカ | 87,553 | 12,430 |
| 10 | ジェネンテック | アメリカ | 87,142 | 6,633 |
| 14 | 武田薬品工業 | 日本 | 55,575 | 10,722 |
| 18 | アステラス製薬 | 日本 | 22,501 | 7,778 |
| 27 | エーザイ | 日本 | 13,850 | 5,318 |
| 28 | 第一三共 | 日本 | 12,208 | 5,473 |
(出所 : 東洋経済2006年11月18日号より抜粋)
時価総額は2006年9月末現在
時価総額は2006年9月末現在
話が長くなったが、要するに日本企業(の経営陣)は、自社を防衛するために時価総額を上げる努力を求められている訳である。そして、その時価総額は収益性とリンクしており、PER(株価収益率)などの指標で評価されることが多い。収益=売上-コストなので、買収防衛を行うために収益性を上げようとすれば「売上を上げてコストを下げる」他無いのだ。
古今東西を問わず、企業にとってもっとも大きなコストが人件費であることは論を待たない。日本企業も製造業においては、「失われた10年」の期間に大規模なリストラを実施し、工場などの生産設備は中国をはじめとする海外オフショアに流出した。また、国内に残った産業でも、派遣やライン請負などのアウトソーシングを進めることによって、生産性を大幅に向上させている。そして、残る聖域がホワイトカラーなのである。
ここで問題になるのが、日本独自の極度に保護された労働慣行である。実際に自分がそうじゃなくなってみると良く分かるのだが、国によってはリストラに怯えるどころか、仕事そのものが存在しないことも多いなか、日本のホワイトカラーは非常に恵まれた環境にあると思う。
政府としても、米国の外圧を受けながら国内産業を守るためには、
1.国内の格差が拡大しても世界で勝てる企業を作る
2.国全体が貧乏になる
のどちらかを選択せざるを得ないと考えてこの議論を切り出しているのだろう。要するに全員が貧乏になるのではなく、「社会として必要な一握りの人材は高給に。そうでない方はそれなりに。」ということだ。企業による国内への投資や税収を考慮した場合、全体が沈むよりはこちらの方が良いのは明らかだ。当然、これは国民の経済格差拡大に繋がるのだが、他に選択肢が無いのならしょうがない。この状況では、近いうちに労働関連法規の全面的な改正議論になることは避けられないだろう。
中国が発展を続ける限り、「すぐ隣の国に知的レベルが高く、人件費が(少なくとも日本よりは)安い人間が軽く1億人以上いる」という状況は覆りそうにない。私が知る限りでも、日本語を流暢に使える中国人はかなり多く、彼らこそがホワイトカラーの潜在的競合者なのである。
労働者として、「残業代がカットされる」と声高に叫ぶのも正論ではあろう。しかしながら、国としてそのような状況になってきているということも同時に指摘しなければ、今後の日本の方向性を決める重要な時期として、大きな問題なのではないだろうか。
2006年11月26日: 中国ソフトウェアアウトソーシング事情2
しばらく間が空いてしまったが、前回の続編を書いてみる。
前回は、「毎年倍々ゲームで売上が伸びている」とか、「いくらでも人材採用が出来る」とか、日本ではちょっと考えられない状況を書いたが、それでは上海と無錫の求人事情はバラ色かというと、どうやらそうでもないらしい。特に上海で顕著だとのことだが、ベテランエンジニアの定着率が著しく低下しているらしく、業界全体の問題として各企業の経営者を悩ませているそうだ。
当り前の話だが、事業が高成長している企業に経験を積んだ人材が豊富にいる訳がない。成長が倍々ゲームと仮定すれば、常に全社員の半数が新入社員ということになる。しかも、その殆どが新卒であるから、その部隊を率いるマネージャークラスの人材は常に逼迫し、給与もウナギ登りということだ。先の通り、新卒者の初任給は2000元(≒30000円)程度ということだが、これが経験を積んでくると10000元(≒150000円)とかになり、人材市場的に給与が非常に高騰しているとのこと。
そこで各社は、他社で経験を積んだエンジニアを積極的に中途採用することになるが、転職元の会社も貴重な社内人材を取られては堪らないということで、中国人の旺盛すぎるほどの上昇志向と相まって、自ずと人件費が高騰することになるらしい。またこれだけであれば、単なる中国企業同士の争奪戦であるが、実はそこに欧米系ソフトウェア企業という黒船が来襲しているのが、事態を複雑にしている。
通常、日本の企業が第三世界の国に進出する場合、現地採用の従業員に対する給与水準は、日本から出向している日本人社員に比べて低いことが多い。もちろん、日本人社員は幹部待遇で現地採用者と職位が違うということもあるだろうが、殆どの場合で現地採用者が社長で、その下で日本人社員が働いているという構図は見かけられない。
ところが、欧米系企業の場合はそのような(事実上の)職位制限の様なものはなく、例え現地採用の人材でも、優秀な場合はドンドンと昇進の階段を上って行くらしいのだ。また、幹部社員に関しては本国と給与水準の差はなく、中国企業はもちろんのこと、日本企業で働く場合に比較しても、とんでもなく高水準な給与設定になっている。
具体的に説明すると、月額3000元(≒45000円)も貰えれば十二分に生活できる上海で、欧米系ソフトウェア企業の管理職に採用された場合には、その20倍程度(60000元≒900000円)は貰えるのだ。上海の物価水準でこれだけ給与が高ければ、完全にエクゼクティブであり、同じく高騰している上海のマンションといえども軽く現金で買えるレベルである。
これだけ差があると、中国企業や日本企業で働くのがバカバカしくなるのは当然で、正直言って勝負にならない。よって、ハイレベルな人材は皆、「転職スゴロク」の上りである欧米系企業を目指して日夜転職を繰り返すこととなる。
そうなると当然困るのは日系企業を含む現地のソフトウェア企業で、一生懸命育ててきた優秀かつ経験豊富なエンジニアの定着率が低下し、経験の少ない兵隊エンジニアだけが残るという事態になってしまう。これを根本的に解決するためには、給与を上げていくしかないのだろうが、まだまだ物価水準の低廉な中国国内を市場としているのでは、高給を支払うだけの原資が賄えない。こんなこともあって、どの企業も内外価格差を利用して高い利益を稼ぐオフショア開発に注力している面があるようだ。
純粋に企業経営の面からだけ見た場合、「最もコストが安い国で生産して、最も物価が高い国で販売する」のは当然のセオリーなので、今後はソフトウェア業界においても、オフショア開発などという限定的なカテゴリーではなく、製造業的な本格的生産シフトが起きるのは避けられないのではないかと思う。
前回は、「毎年倍々ゲームで売上が伸びている」とか、「いくらでも人材採用が出来る」とか、日本ではちょっと考えられない状況を書いたが、それでは上海と無錫の求人事情はバラ色かというと、どうやらそうでもないらしい。特に上海で顕著だとのことだが、ベテランエンジニアの定着率が著しく低下しているらしく、業界全体の問題として各企業の経営者を悩ませているそうだ。
当り前の話だが、事業が高成長している企業に経験を積んだ人材が豊富にいる訳がない。成長が倍々ゲームと仮定すれば、常に全社員の半数が新入社員ということになる。しかも、その殆どが新卒であるから、その部隊を率いるマネージャークラスの人材は常に逼迫し、給与もウナギ登りということだ。先の通り、新卒者の初任給は2000元(≒30000円)程度ということだが、これが経験を積んでくると10000元(≒150000円)とかになり、人材市場的に給与が非常に高騰しているとのこと。
そこで各社は、他社で経験を積んだエンジニアを積極的に中途採用することになるが、転職元の会社も貴重な社内人材を取られては堪らないということで、中国人の旺盛すぎるほどの上昇志向と相まって、自ずと人件費が高騰することになるらしい。またこれだけであれば、単なる中国企業同士の争奪戦であるが、実はそこに欧米系ソフトウェア企業という黒船が来襲しているのが、事態を複雑にしている。
通常、日本の企業が第三世界の国に進出する場合、現地採用の従業員に対する給与水準は、日本から出向している日本人社員に比べて低いことが多い。もちろん、日本人社員は幹部待遇で現地採用者と職位が違うということもあるだろうが、殆どの場合で現地採用者が社長で、その下で日本人社員が働いているという構図は見かけられない。
ところが、欧米系企業の場合はそのような(事実上の)職位制限の様なものはなく、例え現地採用の人材でも、優秀な場合はドンドンと昇進の階段を上って行くらしいのだ。また、幹部社員に関しては本国と給与水準の差はなく、中国企業はもちろんのこと、日本企業で働く場合に比較しても、とんでもなく高水準な給与設定になっている。
具体的に説明すると、月額3000元(≒45000円)も貰えれば十二分に生活できる上海で、欧米系ソフトウェア企業の管理職に採用された場合には、その20倍程度(60000元≒900000円)は貰えるのだ。上海の物価水準でこれだけ給与が高ければ、完全にエクゼクティブであり、同じく高騰している上海のマンションといえども軽く現金で買えるレベルである。
これだけ差があると、中国企業や日本企業で働くのがバカバカしくなるのは当然で、正直言って勝負にならない。よって、ハイレベルな人材は皆、「転職スゴロク」の上りである欧米系企業を目指して日夜転職を繰り返すこととなる。
そうなると当然困るのは日系企業を含む現地のソフトウェア企業で、一生懸命育ててきた優秀かつ経験豊富なエンジニアの定着率が低下し、経験の少ない兵隊エンジニアだけが残るという事態になってしまう。これを根本的に解決するためには、給与を上げていくしかないのだろうが、まだまだ物価水準の低廉な中国国内を市場としているのでは、高給を支払うだけの原資が賄えない。こんなこともあって、どの企業も内外価格差を利用して高い利益を稼ぐオフショア開発に注力している面があるようだ。
純粋に企業経営の面からだけ見た場合、「最もコストが安い国で生産して、最も物価が高い国で販売する」のは当然のセオリーなので、今後はソフトウェア業界においても、オフショア開発などという限定的なカテゴリーではなく、製造業的な本格的生産シフトが起きるのは避けられないのではないかと思う。
2006年11月08日: 中国ソフトウェアアウトソーシング事情1
先月末に、最近色々とお世話になっているスイングバイ2020社が企画した、上海・無錫アウトソーシング視察ツアーに参加してきた。元々、このツアーをご紹介いただいたのがアライアンス先のOBCさんだったこともあり、現地ではOBCの開発拠点も実際に見せていただいたので、今後の事業展開を考える上で大変参考になり満足している。
現在、中国のソフトウェアアウトソーシング事業の伸びは目覚ましく、視察で訪れた企業はどこも倍々ゲームで業績を伸ばしている様子であった。また、殆どの会社が2003年くらいの設立にも関わらず、ホンの3年程度で従業員数を500名程度まで増やしており、2008年に3000名規模に拡大する計画と話していたのには驚いた。社員数の伸び率もさることながら、日本ではこれほどの規模で新卒を採用すること自体が不可能である。
何故それ程の拡大が可能なのかと聞いてみると、実は中国ではソフトウェアエンジニア系の大卒求人が不足気味なのだというから余計に驚く。家庭環境もあって中国事情には詳しい方なので、現在中国の大学卒業者に職が不足していることは良く知っているが、理系の、それもソフトウェアエンジニアまでが求人不足とは思わなかった。
事情を良くご存じない方のために簡単に説明すると、現在の中国では大学教育の一般化がスゴイ勢いで進んでおり、ここ10年くらいで大卒者は10倍程度に膨れ上がっている。ところが、いくら中国経済が発展しているといっても、それは世界の生産拠点としての発展であり、ホワイトカラーよりもブルーカラーの職の方が圧倒的に多いのが現実である。
そして、かつて日本においてもそうであったように、中国においても大卒者はプライドが高く、ホワイトカラーの知的職業に従事したがることが多い。かくして需給のギャップが起こり、優秀な教育を受けた学生の多くが期待する職業に就けない、という問題に繋がっている。
そのような状態なので、当地のソフトウェア企業は相当に絞り込みを行っても余り有るくらいのボリュームで、優秀な新卒者を採用し放題という状況にあるのだという。正直言って羨ましい。
しかも、その優秀な新卒者であっても、初任給はそれ程高くない。情報工学系の新卒者初任給は、上海で2000元(≒30000円)程度、無錫ではさらに安く1500元(≒22500円)程度だということである。上海と無錫でかなりの差があるのは、生活インフラの価格に格差がある為とのこと。実際、私が知っている範囲でも上海のアパートは結構高い。
彼らがどのくらい優秀かというと、新卒で半年程度研修を受けると日本語検定の2級程度になり、経験豊富なブリッジSEの元でという条件ではあるが、それなりに日本の開発案件をこなせるようになるのだそうだ。また、中には上海の復旦大学(超優秀!)を20歳(2年飛び級)で卒業してしまうような人材も存在するらしい。
現在、中国のソフトウェアアウトソーシング事業の伸びは目覚ましく、視察で訪れた企業はどこも倍々ゲームで業績を伸ばしている様子であった。また、殆どの会社が2003年くらいの設立にも関わらず、ホンの3年程度で従業員数を500名程度まで増やしており、2008年に3000名規模に拡大する計画と話していたのには驚いた。社員数の伸び率もさることながら、日本ではこれほどの規模で新卒を採用すること自体が不可能である。
何故それ程の拡大が可能なのかと聞いてみると、実は中国ではソフトウェアエンジニア系の大卒求人が不足気味なのだというから余計に驚く。家庭環境もあって中国事情には詳しい方なので、現在中国の大学卒業者に職が不足していることは良く知っているが、理系の、それもソフトウェアエンジニアまでが求人不足とは思わなかった。
事情を良くご存じない方のために簡単に説明すると、現在の中国では大学教育の一般化がスゴイ勢いで進んでおり、ここ10年くらいで大卒者は10倍程度に膨れ上がっている。ところが、いくら中国経済が発展しているといっても、それは世界の生産拠点としての発展であり、ホワイトカラーよりもブルーカラーの職の方が圧倒的に多いのが現実である。
そして、かつて日本においてもそうであったように、中国においても大卒者はプライドが高く、ホワイトカラーの知的職業に従事したがることが多い。かくして需給のギャップが起こり、優秀な教育を受けた学生の多くが期待する職業に就けない、という問題に繋がっている。
そのような状態なので、当地のソフトウェア企業は相当に絞り込みを行っても余り有るくらいのボリュームで、優秀な新卒者を採用し放題という状況にあるのだという。正直言って羨ましい。
しかも、その優秀な新卒者であっても、初任給はそれ程高くない。情報工学系の新卒者初任給は、上海で2000元(≒30000円)程度、無錫ではさらに安く1500元(≒22500円)程度だということである。上海と無錫でかなりの差があるのは、生活インフラの価格に格差がある為とのこと。実際、私が知っている範囲でも上海のアパートは結構高い。
彼らがどのくらい優秀かというと、新卒で半年程度研修を受けると日本語検定の2級程度になり、経験豊富なブリッジSEの元でという条件ではあるが、それなりに日本の開発案件をこなせるようになるのだそうだ。また、中には上海の復旦大学(超優秀!)を20歳(2年飛び級)で卒業してしまうような人材も存在するらしい。
2006年09月26日: 逆ネズミ講というイメージ??
コレはなかなかおもしろそうである。
ちょっとした数字のマジックのようなので、紹介者がn人の場合に簡単に分解してみると・・・
1.募集者が払うべき金額は、賞金の120%(賞金100%+システム利用料20%)
2.応募者がもらえる金額は、賞金の2/(n+2)*100%
3.最終紹介者がもらえる金額は、賞金の2/(n+2)*100%
4.中継紹介者がもらえる金額は、賞金の1/(n+2)*100%
となる。
この方式のミソは、見た目の賞金と実際に中継者と応募者が貰える金額とのギャップ部分だろう。実はこの方式だと、ディールに対して支払と収入が確定しているのは募集者とシステム運営者のみであり、紹介者と応募者(特に中継紹介者)は、最終的にいくらの配分があるのかディールが完成するまで分からない。
ということは、宝くじでいうところの「サマージャンボ、3億円っ!」という具合に、見た目の期待報酬と実際の(確率上の)期待値の乖離を利用できるワケであり、仕組みを良く理解していない紹介者がバシバシ紹介してくれる可能性も十分に考えられる。ちなみに計算してみると分かるのだが、紹介者が9人以上になると、このディールで最も取り分が多くなるのはシステム運営者である。
オンラインコミュニティ内での紹介という実コストが非常に低廉な方式と、アフィリエイト的な成功報酬の考え方を実に上手くミックスさせて作っており、もし成立するとすれば非常に「儲かる」ビジネスになる可能性があると思われる。
そりゃ、特許も申請するさ。
内藤社長の初恋の人も見つかる?--人脈をたどって人を探せる「ドリコムWanted」 - CNET Japan"賞金は1000円から100万円の間で自由に設定できる。応募者と最終紹介者には他の人の2倍の賞金が分配され、その他の人は同じ金額が分配されるようになる。例えば2人の紹介者を介して応募者が現れた場合、応募者とその人を紹介した人にそれぞれ40%、一番最初の紹介者には20%が支払われる。"
ちょっとした数字のマジックのようなので、紹介者がn人の場合に簡単に分解してみると・・・
1.募集者が払うべき金額は、賞金の120%(賞金100%+システム利用料20%)
2.応募者がもらえる金額は、賞金の2/(n+2)*100%
3.最終紹介者がもらえる金額は、賞金の2/(n+2)*100%
4.中継紹介者がもらえる金額は、賞金の1/(n+2)*100%
となる。
この方式のミソは、見た目の賞金と実際に中継者と応募者が貰える金額とのギャップ部分だろう。実はこの方式だと、ディールに対して支払と収入が確定しているのは募集者とシステム運営者のみであり、紹介者と応募者(特に中継紹介者)は、最終的にいくらの配分があるのかディールが完成するまで分からない。
ということは、宝くじでいうところの「サマージャンボ、3億円っ!」という具合に、見た目の期待報酬と実際の(確率上の)期待値の乖離を利用できるワケであり、仕組みを良く理解していない紹介者がバシバシ紹介してくれる可能性も十分に考えられる。ちなみに計算してみると分かるのだが、紹介者が9人以上になると、このディールで最も取り分が多くなるのはシステム運営者である。
オンラインコミュニティ内での紹介という実コストが非常に低廉な方式と、アフィリエイト的な成功報酬の考え方を実に上手くミックスさせて作っており、もし成立するとすれば非常に「儲かる」ビジネスになる可能性があると思われる。
そりゃ、特許も申請するさ。
2006年09月13日: Web2.0というバズワードとロングテール理論
アルファブロガーで著名な磯崎氏によるエントリー。連載第4回目とのことだが、3回まではロングテールを絶賛しつつ、4回目で若干矛盾したようなロジックを展開中。
とのことだが、それは物流を伴う小売業の場合は避けられない命題である。
そもそもロングテール理論とは、「ロングテールをやればもうかる」のではなく、「ロングテールをやってもコストが上がらない」というところがポイントのハズだ。磯崎氏の連載にもあるとおり、情報産業でデータ流通によって商売が完結するイーベイやオンライン証券、オークションのような事業構造であれば、取扱品目を増やすための投資コストは単純に商品データベースへの登録作業だけになる(ロングテールのテールを扱う場合、トランザクションの増加は無視できる)ので、たとえそこから得られる売上が微小であっても、投資コストがそれよりも小さいので利益を出すことが可能である。
アマゾンの場合、販売管理費の多くが在庫管理や物流に費やされていることが予想されるので、同じような構造を持つ通販業者と事業構造が似ているのは当たり前だ。ただし、だからと言ってアマゾンがこのままで終わりになるかというと、そんな訳はない。すでにアップルのiTMS(昨日改名してiTSだが)やアマゾンでも実現している通り、デジタルコンテンツ流通は、そう遠くない将来に物理的なパッケージからオンラインに移行していくだろう。
そうなった場合に、アマゾンは物流や在庫管理コストから解放され、真に「ロングテールの恩恵」を受けることになる。逆にセブンイレブンや丸善が現在のビジネスの延長戦上で展開する場合は、「ロングテールの恩恵」を受けることはないだろう。それを無視して「貧乏ロングテール」と括ってしまうのは、やや乱暴すぎなのではないだろうか。
アマゾンと、ロングテールに関する”大きな勘違い” - ネット・エコノミー解体新書 -"常識的に考えれば、ロングテールで「少量多品種」になれば、効率は悪くなる。つまり、「ロングテールをやればもうかる」のではなく、「絶対的地位の規模を獲得すれば、ロングテール“でも”利益が出せるようになる」と見るのが正しいのではないか。
また、書籍などのマーケットは、日本でも米国でも「縮小しつつある市場」であるという点にも着目する必要がある。右下がりのマーケットでは「バラ色の未来」は描きにくいから、参入したがる者は限られる。
現在のアマゾンが得ているのは、ロングテールによる「新しいタイプの利益」というよりも、オールドエコノミーでも見られる、成熟・衰退市場で絶対的地位を獲得することによる「残存者利益」であり、「古典的なタイプの利益」なのではないだろうか。"
とのことだが、それは物流を伴う小売業の場合は避けられない命題である。
そもそもロングテール理論とは、「ロングテールをやればもうかる」のではなく、「ロングテールをやってもコストが上がらない」というところがポイントのハズだ。磯崎氏の連載にもあるとおり、情報産業でデータ流通によって商売が完結するイーベイやオンライン証券、オークションのような事業構造であれば、取扱品目を増やすための投資コストは単純に商品データベースへの登録作業だけになる(ロングテールのテールを扱う場合、トランザクションの増加は無視できる)ので、たとえそこから得られる売上が微小であっても、投資コストがそれよりも小さいので利益を出すことが可能である。
アマゾンの場合、販売管理費の多くが在庫管理や物流に費やされていることが予想されるので、同じような構造を持つ通販業者と事業構造が似ているのは当たり前だ。ただし、だからと言ってアマゾンがこのままで終わりになるかというと、そんな訳はない。すでにアップルのiTMS(昨日改名してiTSだが)やアマゾンでも実現している通り、デジタルコンテンツ流通は、そう遠くない将来に物理的なパッケージからオンラインに移行していくだろう。
そうなった場合に、アマゾンは物流や在庫管理コストから解放され、真に「ロングテールの恩恵」を受けることになる。逆にセブンイレブンや丸善が現在のビジネスの延長戦上で展開する場合は、「ロングテールの恩恵」を受けることはないだろう。それを無視して「貧乏ロングテール」と括ってしまうのは、やや乱暴すぎなのではないだろうか。
2006年07月23日: Googleが日本のソフト業界にもたらすもの
ITproの記事。
うーん、中々どころか相当難しい問題である。もちろん、私自身もサイボウズ・ラボ畑社長と同じく「日本のソフト業界を良くするという気概で臨んでいる」つもりだが、単純に「GoogleやMSの労働環境って本当に素晴らしいですね」と手放しで誉める気にはならないのが正直なところだ。シリコンバレー在住の渡辺さんが、この辺も含めて現地の様子を面白く綴ってくれているが、シリコンバレーでは全体的にエンジニアの給与が高いそうである。平均すると、年収1600万円超とのこと。しかしながら、事はそう簡単ではないのだ。以下の文章を見てみよう。
要するに、労働分配の問題は原資が限られているのだから、どこにコストを掛けるかということになってしまうのだ。例えるならば、元本保証型の銀行預金のような商品と、リスク型の金融先物のような商品の違いのようなものである。前者はリスクもゲインも低いが後者はその両方共が高い。
米国における職業とは基本的に長期保証と無縁である。日本とは異なり、別に会社が傾かなくても頻繁にレイオフは行われている。それに対して、国内企業のSEは基本的に労働法制によって長期雇用が保証されている。そのような状況下で、国内企業SEと明日失職するかもしれないシリコンバレーのSEをそのまま比べることは出来ないし、ましてやその中でもトップ企業であるGoogleとでは全く比較にならないはずだ。
ちなみに、Google日本法人の中途採用条件は以下のとおり。
#条件だけ見ると、自分でも何とかなりそうなレベルではあるが・・・
採用基準が米国と同等だとすると、事実上トップ大学のコンピュータサイエンス博士号を持っているのが最低条件ということらしいのだが、そんな希少な人材の話を一般に拡大してもあまり意味がない。
尚、国内IT産業においても、個人で請負を行っている高スキル人材は存在しており、収入が数千万円程度ある人も少なくない。米国の雇用形態を見る限り、国内と比較するならばこちらの方が理にかなっているのではないだろうか。
Googleが日本のソフト業界にもたらすもの:ITpro"長時間労働,能力や負荷に見合わない報酬や社会的評価など,ソフト技術者の労働環境については暗い話題ばかりが行き交っている。だが,Googleのような企業をお手本として,ソフト技術者の「居心地」を重視する会社が国内に増えれば,少しは改善に向かうのでは,と思う。実際,畑社長は「日本のソフト業界を良くするという気概で臨んでいる」と言う。"
うーん、中々どころか相当難しい問題である。もちろん、私自身もサイボウズ・ラボ畑社長と同じく「日本のソフト業界を良くするという気概で臨んでいる」つもりだが、単純に「GoogleやMSの労働環境って本当に素晴らしいですね」と手放しで誉める気にはならないのが正直なところだ。シリコンバレー在住の渡辺さんが、この辺も含めて現地の様子を面白く綴ってくれているが、シリコンバレーでは全体的にエンジニアの給与が高いそうである。平均すると、年収1600万円超とのこと。しかしながら、事はそう簡単ではないのだ。以下の文章を見てみよう。
On Off and Beyond: シリコンバレーの給与水準再び"ハーバードMBAとUCLAのエンジニアリングの学位を持ちながら、職が見つからずフィナンシャルアドバイザーの資格を取った人の話もでてくる。漠然とした能力じゃなく、求められている条件にぴったりのスキルが求められるわけです。
In our industry, being an active learner is really key.
ということで、一生学び続けるつもりがない人は、業界構造が変わるたびに振り落とされていくわけ。
そこで残った人の平均年収だからシリコンバレーの収入は高いと、そういうことなのでありました。No pain, no gainですか、やはり。。。"
要するに、労働分配の問題は原資が限られているのだから、どこにコストを掛けるかということになってしまうのだ。例えるならば、元本保証型の銀行預金のような商品と、リスク型の金融先物のような商品の違いのようなものである。前者はリスクもゲインも低いが後者はその両方共が高い。
米国における職業とは基本的に長期保証と無縁である。日本とは異なり、別に会社が傾かなくても頻繁にレイオフは行われている。それに対して、国内企業のSEは基本的に労働法制によって長期雇用が保証されている。そのような状況下で、国内企業SEと明日失職するかもしれないシリコンバレーのSEをそのまま比べることは出来ないし、ましてやその中でもトップ企業であるGoogleとでは全く比較にならないはずだ。
ちなみに、Google日本法人の中途採用条件は以下のとおり。
人材募集応募条件:望ましい経験:
- 理工系学科の修士課程修了以上、または最低3年以上のソフトウェア開発経験
- C、C++またはJavaのいずれかにおける充分なプログラミング知識
- UNIX/LinuxまたはWindows環境におけるソフトウェア開発能力
- 技術的なチャレンジを楽しめること
- 日本語および英語での読み書き、会話が可能であること(TOEIC 700点程度を目安としています)
- コンピューターサイエンス系学科の修士課程修了以上
- 以下の分野での研究または開発経験
- 分散システム
- 機械学習
- 情報検索アルゴリズム
- ネットワークプログラミング
- 大規模ソフトウェア開発
- 情報検索
- 自然言語処理(日本語処理)
#条件だけ見ると、自分でも何とかなりそうなレベルではあるが・・・
採用基準が米国と同等だとすると、事実上トップ大学のコンピュータサイエンス博士号を持っているのが最低条件ということらしいのだが、そんな希少な人材の話を一般に拡大してもあまり意味がない。
尚、国内IT産業においても、個人で請負を行っている高スキル人材は存在しており、収入が数千万円程度ある人も少なくない。米国の雇用形態を見る限り、国内と比較するならばこちらの方が理にかなっているのではないだろうか。
2006年06月28日: Ray Ozzie氏はGoogleに勝てるのか?
Ray Ozzie氏はGoogleに勝てるのか?
元Microsoftのエンジニアであった中島さんのところの記事。
個人的な見解であるが、Bill Gates会長の後釜は誰がやっても上手く行かないのではないかと思う。恐らく問題となるのは、「単なるCEO探しではなく、会長兼CSA(Chief Software Architect)探しでもなく、Bill Gatesという存在そのものを後継する」ということの難しさであろう。
世間では散々言われていることだが、Microsoftがここまで強大な勢力に成長できたのは、実は技術開発力によってではない。同社が最初にブレイクさせた製品であるMS-BASICも、言語自体を開発したのはDartmouth大学であったし、OSの世界で標準を取るキッカケとなったMS-DOSも、QDOSという他社製品を買ってきたものだ。同様に現在のドル箱製品であるMS Officeも、元は買収してきた製品を再構成したものが多い。
但し、私は彼らの製品開発力に文句を言っているのではない。むしろ、技術力自体はいつの時代もかなりのレベルにあったと考えている方だ。そうではなくて、世の中の動きを先読みし、自社にないものは買収してでも調達する、Microsoft社の超攻撃的なビジネススキルがスゴイと言いたいのだ。そしてその行動を率先してきた人物こそがBill Gates氏であることは論を待たない。彼は肩書きこそ、CEOとかCSAとか変わってきているが、彼が彼たる所以は、あくまでも上記のビジネススキルにあると思われる。
そうだとすれば、この部分こそが「誰もBill Gatesの後釜になれない」という命題を突きつけているのだ。Lotus Notesを世界中にブレイクさせ、Grooveでは自らが起業家となってExit(Microsoftへの売却)を成し遂げたRay Ozzie氏は、確かに実績もスキルも申し分ないのであろう。しかしながら、彼は前述のビジネススキルも兼ね備えているのだろうか? 私はRay Ozzie氏もまた、エンジニアにありがちな「自前で作る」という思想を捨てきれないのではないかと考えてしまう。もしそうであるのならば、Bill Gates氏の後釜には、むしろCISCO SYSTEMSのJohn Chambers会長のようなやり手ビジネスマンの方が上手くはまるのではないだろうか。
まあ、いずれにせよ、Bill Gates氏の引退が業界に及ぼす影響については、暫く目が離せないだろう。
元Microsoftのエンジニアであった中島さんのところの記事。
Life is beautiful: 新しい Microsoft を引き継ぐのは Ray Ozzieか?"このメモを読むと分かるが、Ozzie はなかなかすばらしい。彼は、過去5年間に Google がサーチで、Skype が VoIP で成し遂げたことを、「本来なら Microsoft が成し遂げるべきだったもの」と具体的に指摘し、Office がインターネットの標準ファイルフォーマットにはなれなかったこと、RSS がデファクトになりつつあること、草の根的なスクリプト言語による rapid development の重要性などを、ものすごくストレートに述べている。Bill GatesとSteve Ballmerが、絶大なる信頼を寄せるのも納得できる。"
個人的な見解であるが、Bill Gates会長の後釜は誰がやっても上手く行かないのではないかと思う。恐らく問題となるのは、「単なるCEO探しではなく、会長兼CSA(Chief Software Architect)探しでもなく、Bill Gatesという存在そのものを後継する」ということの難しさであろう。
世間では散々言われていることだが、Microsoftがここまで強大な勢力に成長できたのは、実は技術開発力によってではない。同社が最初にブレイクさせた製品であるMS-BASICも、言語自体を開発したのはDartmouth大学であったし、OSの世界で標準を取るキッカケとなったMS-DOSも、QDOSという他社製品を買ってきたものだ。同様に現在のドル箱製品であるMS Officeも、元は買収してきた製品を再構成したものが多い。
但し、私は彼らの製品開発力に文句を言っているのではない。むしろ、技術力自体はいつの時代もかなりのレベルにあったと考えている方だ。そうではなくて、世の中の動きを先読みし、自社にないものは買収してでも調達する、Microsoft社の超攻撃的なビジネススキルがスゴイと言いたいのだ。そしてその行動を率先してきた人物こそがBill Gates氏であることは論を待たない。彼は肩書きこそ、CEOとかCSAとか変わってきているが、彼が彼たる所以は、あくまでも上記のビジネススキルにあると思われる。
そうだとすれば、この部分こそが「誰もBill Gatesの後釜になれない」という命題を突きつけているのだ。Lotus Notesを世界中にブレイクさせ、Grooveでは自らが起業家となってExit(Microsoftへの売却)を成し遂げたRay Ozzie氏は、確かに実績もスキルも申し分ないのであろう。しかしながら、彼は前述のビジネススキルも兼ね備えているのだろうか? 私はRay Ozzie氏もまた、エンジニアにありがちな「自前で作る」という思想を捨てきれないのではないかと考えてしまう。もしそうであるのならば、Bill Gates氏の後釜には、むしろCISCO SYSTEMSのJohn Chambers会長のようなやり手ビジネスマンの方が上手くはまるのではないだろうか。
まあ、いずれにせよ、Bill Gates氏の引退が業界に及ぼす影響については、暫く目が離せないだろう。
2006年06月21日: 新しい潮流は常に帰納法的アプローチである
先日、とある医療系の会合にお呼びいただいてWeb2.0の話をする機会があった。講演資料は前日に急いで作ったものなので、内容的にありきたりなのが恐縮だが、とりあえず参考までにアップ(公表用に内容を一部変更したPDF版)しておく。まあ、このブログで「Web2.0時代のホニャララ」と書いておきながら、Web2.0を説明するロジックを十分整理していなかったことに気付いたのは、個人的に何よりの成果だったかもしれない。お声掛けいただいたプラメドの守屋取締役には、大変感謝している。
この資料を作成していて感じたことがある。Webやソフトウェアの世界に何らかの波が来ていることや、どのようなモノが2.0的なのかは判っているつもりであったが、それを他人に説明するとなると途端に難しくなるのだ。その理由は、「Web2.0というものが演繹的に導かれるモノではなく、帰納的にのみ導かれるモノ」だからだろう。
演繹的に導かれるということは、「このような条件を満たせば成立する」というような判断ロジックが数学的に定義出来るものだということなのだが、O‘Reilly氏のWeb論文である「What Is Web 2.0」からしてそのようには定義されていない。
彼が指摘しているのは、「まず先に実例ありき」であるということで、同種のサービスや定義についてWeb1.0と最新のものを並べてみて、「何かが違うよね」と問いかけているのだ。
確かに、ミームマップで掲げられている7つの要素はこれらの実例から導き出されたものであるが、個人的に疑問に思う題材(P2Pとか)も少なくない。また、O‘Reilly氏自身も認めている通り、現実的な事例の多くがGoogleに依存しているのも、また事実であろう。
それによってかよらずか、Web2.0の動きを評して「ITバブル2.0」などと揶揄する向きもあるようだが、少なくとも私や周辺にいるこの業界のビジョナリー達は、「何か大きな地殻変動が起こっている」感覚を共有しており、2000年前後のITバブルとは明らかに違うモチベーションを感じている。
これまでの歴史においても、技術的な新たな潮流は、最初なかなか理解されなかったことの方が多い。分かりやすい例としては、兵器開発などが典型だろう。例えば、日本に最初に鉄砲が伝来したのが種子島であったことは有名だが、当初はそれが戦争を一変させてしまう程の威力を持つ兵器になるとは誰も想像していなかった。稀代の天才織田信長の手によって鉄砲と足軽部隊を活用した戦術が編み出されるまでは、騎馬武者や長槍の方が何倍も強力な軍隊であったのだ。
ところが、一旦、鉄砲部隊の威力が天下に示されると、次々に新しい戦術が生み出され、やがてそれが戦争の常識になっていった。Web2.0においても、Googleという織田信長が出現したことで、世間の認識が広がっていた部分が多分にあると思われる。もし、Google=織田信長という仮説が成り立つのならば、Web2.0=鉄砲であることになり、Web2.0は今後の標準的な戦術(≠技術)になるとも類推出来る。そうであるならば、今からWeb2.0について注意を払い、その動向を追うことは、ビジネスマンにとって大きな意味がある事ではないだろうか。
この資料を作成していて感じたことがある。Webやソフトウェアの世界に何らかの波が来ていることや、どのようなモノが2.0的なのかは判っているつもりであったが、それを他人に説明するとなると途端に難しくなるのだ。その理由は、「Web2.0というものが演繹的に導かれるモノではなく、帰納的にのみ導かれるモノ」だからだろう。
演繹的に導かれるということは、「このような条件を満たせば成立する」というような判断ロジックが数学的に定義出来るものだということなのだが、O‘Reilly氏のWeb論文である「What Is Web 2.0」からしてそのようには定義されていない。
O'Reilly -- What Is Web 2.0"We began trying to tease out the principles that are demonstrated in one way or another by the success stories of web 1.0 and by the most interesting of the new applications."
彼が指摘しているのは、「まず先に実例ありき」であるということで、同種のサービスや定義についてWeb1.0と最新のものを並べてみて、「何かが違うよね」と問いかけているのだ。
確かに、ミームマップで掲げられている7つの要素はこれらの実例から導き出されたものであるが、個人的に疑問に思う題材(P2Pとか)も少なくない。また、O‘Reilly氏自身も認めている通り、現実的な事例の多くがGoogleに依存しているのも、また事実であろう。
それによってかよらずか、Web2.0の動きを評して「ITバブル2.0」などと揶揄する向きもあるようだが、少なくとも私や周辺にいるこの業界のビジョナリー達は、「何か大きな地殻変動が起こっている」感覚を共有しており、2000年前後のITバブルとは明らかに違うモチベーションを感じている。
これまでの歴史においても、技術的な新たな潮流は、最初なかなか理解されなかったことの方が多い。分かりやすい例としては、兵器開発などが典型だろう。例えば、日本に最初に鉄砲が伝来したのが種子島であったことは有名だが、当初はそれが戦争を一変させてしまう程の威力を持つ兵器になるとは誰も想像していなかった。稀代の天才織田信長の手によって鉄砲と足軽部隊を活用した戦術が編み出されるまでは、騎馬武者や長槍の方が何倍も強力な軍隊であったのだ。
ところが、一旦、鉄砲部隊の威力が天下に示されると、次々に新しい戦術が生み出され、やがてそれが戦争の常識になっていった。Web2.0においても、Googleという織田信長が出現したことで、世間の認識が広がっていた部分が多分にあると思われる。もし、Google=織田信長という仮説が成り立つのならば、Web2.0=鉄砲であることになり、Web2.0は今後の標準的な戦術(≠技術)になるとも類推出来る。そうであるならば、今からWeb2.0について注意を払い、その動向を追うことは、ビジネスマンにとって大きな意味がある事ではないだろうか。
2006年05月12日: Web2.0=オンライン・バリューチェーン?
Googleも含めて、最近Web2.0と呼ばれている事業の特徴は下記のようなものだ。
1.広く公開されている無償(若しくは非常に安価)データを収集する
2.収集した1次データを編集・加工してユニークなメタデータを作る
3.作成したメタデータを公開することで1を加速させる
ビジネス的な収入は、ステップ3での広告によってもたらされることがほとんどで、3で提供するメタデータのユニークさによって1次データの収集をブーストすることが可能になっている。このため、ユーザニーズを上手く捉えると等比級数的な事業成長を見せることも珍しくない。
この広告モデルでは、3のメタデータについても無償で公開されていることが多く、ある事業者のメタデータが別の事業者の1次データになることが原理上可能である。つまり「価値の連鎖」というわけだ。
ん、価値の連鎖? どこかで聞いたことがあると思ったら、懐かしのバズワードでもある「バリューチェーン(Value Chain)」ではないか!
バリューチェーン - @IT情報マネジメント用語事典
これは正に「マッシュアップ(Mashup)」そのものであるから「マッシュアップ=オンライン・バリューチェーンの構築」以外に他ならない。そして、先のステップの1も3も無償データであるということから考えると、マッシュアップよって作り出されたバリューチェーンは非常に低コストな系でもあるから、その反対に多くの利潤を生み出す系ということになる。
実際に先行事例では、2次的なマッシュアップ事業からも収益が生まれ始めているらしい。
ITmedia エンタープライズ:Google Maps APIがもたらす広告の可能性
こうなると、このパワーは必ず既存産業を破壊することになるだろう。この渦から逃れる術はあるのだろうか・・・?
1.広く公開されている無償(若しくは非常に安価)データを収集する
2.収集した1次データを編集・加工してユニークなメタデータを作る
3.作成したメタデータを公開することで1を加速させる
ビジネス的な収入は、ステップ3での広告によってもたらされることがほとんどで、3で提供するメタデータのユニークさによって1次データの収集をブーストすることが可能になっている。このため、ユーザニーズを上手く捉えると等比級数的な事業成長を見せることも珍しくない。
この広告モデルでは、3のメタデータについても無償で公開されていることが多く、ある事業者のメタデータが別の事業者の1次データになることが原理上可能である。つまり「価値の連鎖」というわけだ。
ん、価値の連鎖? どこかで聞いたことがあると思ったら、懐かしのバズワードでもある「バリューチェーン(Value Chain)」ではないか!
"この個々の活動単位が価値を生み出す主体であり、その活動を“価値活動”と呼ぶ。そして、ある価値活動(前工程)のアウトプットが次工程のインプットとなり、順次変換(加工)が連鎖的に行われていく相互依存のシステムがバリューチェーンである。それぞれの価値活動は資源(ヒト・モノ・カネ)を必要とし、コストが発生する。バリューチェーン全体が生み出す価値とコストの差が上図のマージン(利潤)である。"
バリューチェーン - @IT情報マネジメント用語事典
これは正に「マッシュアップ(Mashup)」そのものであるから「マッシュアップ=オンライン・バリューチェーンの構築」以外に他ならない。そして、先のステップの1も3も無償データであるということから考えると、マッシュアップよって作り出されたバリューチェーンは非常に低コストな系でもあるから、その反対に多くの利潤を生み出す系ということになる。
実際に先行事例では、2次的なマッシュアップ事業からも収益が生まれ始めているらしい。
"「われわれはかなり注目を集めている。今朝はプロモーションをやりたがっているある会社と話をした。米国中を回るトラックを持っていて、Where's Timのようなものを使ってそれを走らせたいという別の企業とも話をした」(同氏)
もしそうなら、Google Maps APIと、最近Googleが地域情報検索に追加した広告をつなぐ点がもう1つ増えることになる。Googleの検索広告が成功しているのは、多くの検索ユーザーが真っ先に「Google」を使うことを考えるからだ。これをMapsに広げれば、Googleが金銭的な報酬を得る新たな方法になる。"
ITmedia エンタープライズ:Google Maps APIがもたらす広告の可能性
こうなると、このパワーは必ず既存産業を破壊することになるだろう。この渦から逃れる術はあるのだろうか・・・?
